少しの工夫で食卓がより華やかになるようなアイデアを、料理研究家·中村奈津子先生に教えていただきました。「日々の食事をより楽しく」をテーマにさまざまなコツをご紹介。新しいキッチンでつくるお料理をもっと楽しく、目でもたっぷり味わってみては? コーディネートの手順や器の選び方、盛りつけ方などもぜひご参考に!
テーブルコーディネートのアイテム選びは、「面積の広いものから考える」のがポイント。
テーブルクロスとランチョンマットを同時に使用されている方もいらっしゃいますが、基本的には併用はしないものですので気をつけましょう。
クロスや食器類などを選ぶ際、使う色を3色程度におさめるとバランスがよくなります。
こちらのコーディネートでは、白(プレイスマット、お皿)、シルバー(カトラリー、お重、キャンドルスタンド)、ブルー(ナプキン)の3色でまとめられています。
色の使い方に気をつけると、料理を盛りつけた際にも全体のバランスがまとまりやすくなります。
口に入れるもののまわりに置くアイテムはなるべく天然由来のものに、というのが奈津子先生のポリシー。テーブルクロスであれば、ビニール素材ではなく麻や綿などがおすすめです。洗いざらしの風合いも楽しめる麻や撥水加工が施されている綿のアイテムは、お手入れもしやすく毎日使うのにぴったり。「見た目も使い勝手も◎」というのは、重要なポイントですね。
同じ理由から、アレルギーなどの場合を除いて造花も避け、生花やハーブなどのフレッシュなものを飾りましょう。小さいグラスや花器に1輪添えるだけでも、食卓の雰囲気が明るくなります。
生花を揃えるのが大変という方は、シーズンごとに鉢植えを購入し食事ごとに摘むという方法はいかがでしょうか。シーズンごとに買い換えれば、季節にあった植物を楽しめますよ。
洋食器=洋食、和食器=和食というようにジャンルにとらわれず、いろいろな料理を盛ってみましょう。使い方のバリエーションが広がりますし、なにより選ぶのが楽しくなります。
ただし、無秩序に組み合わせるのではなく色のトーンを揃えるなど統一感を意識するのもお忘れなく。
料理例(洋食):和風のお椀ですが、ポタージュなどの洋食メニューにも。
料理例(中華):高さのある中央の台にはオードブルを数種類、深鉢にはタンメンなどの麺類を。
盛りつけの際は、余白を残すことを意識しましょう。料理にもよりますが、余白の目安は器全体の6割程度。ゆったりと盛りつけるのがポイントです。
シチューのように料理に赤や緑などの色のある食材が入っている場合はいいのですが、色が単調だったり色味が少ない料理の場合、そのまま盛ると寂しい印象になってしまいます。
そんなときに便利なのが、ハーブなどのグリーン。少し添えるだけで彩りよく、おいしそうな見た目に。比較的育てやすいイタリアンパセリやミントの自家栽培が、奈津子先生おすすめのアイデアです。和食であれば、大葉などもよさそうですね。
テーブルコーディネートを考えるときにお気に入りの器が揃っていると気分があがりますよね。ですが、食器は収納に場所を取ることが多いのが現実。後悔のない器選びのために、購入時には以下のことに気をつけましょう。
購入時には「用途」を考えるのが大切です。ほしい食器がいろいろな料理で活用できそうであれば購入OK。「かわいい」「きれい」などの直感ももちろん大切ですが、用途を考えずに買ってしまうと「使いにくい食器」を増やしてしまうことになるので、お気をつけて。
持っておくと便利な食器の代表格は、上質な白いお皿。どのメーカーでも白は基本カラーなので、アイテムを追加する際にトーンが揃いやすいというメリットもあります。余白をつくりやすいのも魅力のひとつ。お皿の価格は、質や見た目に反映されることが多いので、きちんと実物を見て購入するようにしましょう。
柄物の場合、おすすめなのは緑や赤の模様が入っているもの。料理自体の色が単調だったり色味が少ない場合には、柄物の食器が活躍します。
奈津子先生がよく使うという緑と赤の柄が入ったこのお皿。お肉などのメイン料理のみを盛りつけても華やかになるので大活躍なのだとか。
お皿自体に色合いがあると、盛りつけを考えている間にお料理が冷めてしまった……なんてことも避けられます。食事をおいしいうちにいただくためにも、参考にしたいアイデアですね。
奈津子先生おすすめのアイデアは3つ。
お椀やフタつきの陶磁器は、1点加えるだけで食卓がおしゃれに見えるとっておきのアイテム。
お椀には、和食の汁物だけでなくポタージュや洋風のすりながしなどを入れてもOK、と奈津子先生。
普段の食事にお重を取り入れると食卓が華やかになります。お弁当のように詰めるだけで、楽しげな雰囲気に。スイーツを飾ればティータイムが一気に優雅になります。和菓子はもちろん、マカロンやクッキーなどの小ぶりの洋菓子をゆったり入れるのも素敵ですね。
また、寒い季節におすすめなのは鍋料理での活用法。鍋の具材をお重に持って食卓に出せば、いつもとは違った印象に。
小さいお子さんがいるご家庭の場合、大人と同じ食器にするのをためらうという方も多いはず。ですが、「子どもも大人と同じように食器を用意するべき」というのが奈津子先生の意見。
小さい頃から「陶磁器やガラスは割れるもの」という認識を持ってもらうことはもちろん、なにより大切なのは食器やカトラリーによって食事の感じ方が変わるということ。たとえば、プラスチックのお箸と木のお箸では、口にしたときの感触が異なるため味覚にも影響してしまうのだそう。お子さんの味覚を育て、食事を好きになってもらうためにも、プラスチック製の子ども用食器の使用は避けるのがベターです。