古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【歳時記】シリーズ。
旧暦では、一年のはじまりとされていた2月。そのため、お清めの意味をもつ「豆まき」という風習がうまれたのだとか。そのほかの行事として、「事八日」「初午」「バレンタイン」の3つを詳しくご紹介します。
立春(2月4日〜17日頃)、雨水(2月18日〜3月4日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
如月(きさらぎ)、衣更着(きさらぎ)、麗月(れいげつ)、初花月(はつはなづき)、仲春(ちゅうしゅん)
花は日が当たると開き、暮れると閉じます。新年を祝う縁起花。幸福と長寿を表します。
沈香に似た甘い香りが春の訪れを感じさせます。
日本では珍しい雌木は有毒の実がつきます。
※地域や気候などによって異なります。
旧暦では、2月4日前後の「立春」が1年の始まりです。そのため、立春の前日を「季節を分ける日」という意味の「節分」と称し、豆まきをして一年の穢れ(けがれ)をはらい清める風習が生まれました。
豆は「魔を滅する(まめ)」に通じ、無病息災を祈る意味があります。また、まいた豆から芽が出ると縁起が悪いと考えられていたため、炒った大豆を枡へ入れ神棚にお供えしてから使います。
一般的に、一家の主人か、年男(女)が豆をまくものとされています。豆まきの後は、年の数だけ豆を食べると病気にならず、健康でいられるといわれています。年の数だけ食べられない場合は、飲めば食べるのと同じだけご利益があるといわれている「福茶」をいただきます。
福豆3粒に梅干しと塩昆布を加え、お湯を注げば出来上がり。年の数の福豆にお茶を注いで飲む場合もあります。
鬼は鰯のにおいと、柊のとげが大の苦手。節分には、柊に焼いた鰯の頭を刺した「柊鰯」を玄関先につけておきます。木へんに冬と書く柊には、冬の寒気をはらうという意味もあります。
関西発祥の比較的新しい風習に「恵方巻」があります。福を巻き込んだ巻き寿司を、その年の恵方を向いて、願い事を念じながら無言で丸かじりします。
近年では全国的に広がりつつありますが、古くは「丸かじり寿司」「節分巻き寿司」「幸運巻き寿司」などといわれていました。
2月はまだ冬の真っ盛り。寒い日が続きますが、立春を迎え暦の上では春です。立春以降に初めて吹く強い南風を「春一番」と呼びます。
12月8日と2月8日を事八日といい、催事や農事を納めたり始めたりする節目の日とされています。地域によっては、無病息災を願い、芋、大根、小豆、にんじん、こんにゃく、ごぼうなど野菜たっぷりの味噌汁「お事汁」をいただきます。
「初午」は2月最初の午の日※。この日は稲荷神のお祭りが行われ、全国各地の稲荷神社で豊作、商売繁盛、開運、家内安全を祈願します。
稲荷神社は全国に約4万社あり、総本社は京都市伏見区の伏見稲荷大社です。稲荷神のお使い役のキツネは油揚げが大好物。初午の日には、油揚げや油揚げにすし飯を詰めたものを奉納しました。
これが、いなり寿司の始まりです。いなり寿司は、東日本では米俵に見立てた俵型ですが、西日本ではきつねの耳に見立てた三角が主流です。
※午の日:十二支の順で日付を表した場合「午」にあたる日
※2018年の初午は、2月7日(水)です。
キリスト教の聖人である聖バレンタインが、当時、兵士に禁じられていた恋愛や結婚を許したため殉教した2月14日にちなんだ愛の記念日。ヨーロッパでは思いを伝えるために男女がメッセージカードや花束を互いに贈り合う日として定着しました。
日本に定着したのは1970年代後半のこと。チョコレートメーカーが「女性が男性に対し愛情をこめてチョコレートを贈る」という日本型バレンタインデーを普及させました。
このコンテンツは、キッチンを通じた楽しいふれあいの場づくりに貢献するために、食や暮らしに関する情報の収集、調査・分析を行っているクリナップの生活研究部門「おいしい暮らし研究所」が監修をしています。