古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【歳時記】シリーズ。今回お届けするのは「11月(霜月)」について。
実りの秋ならではの収穫を祝う行事を始めとするさまざまな文化に触れながら、日本らしい“秋”を感じられてみてはいかがでしょうか。
立冬(11月7日〜21日頃)、小雪(11月22日〜12月6日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
霜月(しもつき)、雪待月(ゆきまちづき)、霜見月(しもみづき)、冬半(とうはん)、神帰月(かみかえりづき)
落葉樹の葉が赤や黄に染まることを「紅葉」といいます。「もみじ」は楓の総称です。
椿との区別が難しいですが、葉がギザギザで花びらが一枚ずつ散るのが特徴です。
※地域や気候などによって異なります。
11月の和名は「霜月」。霜が降り始める頃という意味があります。暦の上で冬の始まりとされる二十四節気の「立冬」を過ぎると、暖かな小春日和と寒い日を繰り返しながら、寒さが深まります。冷たい風に落ち葉が舞い、虫や動物たちが冬眠に入るのもこの頃。冬の訪れを感じさせます。
11月の行事は、秋の収穫を祝い感謝する酉の市(とりのいち)や亥の子(いのこ)祝い、毎年11月23日に宮中や全国の神社で行われる新嘗祭(にいなめさい)などがあります。
新嘗の「新」は新穀を、「嘗」はごちそうを意味します。宮中では、天皇が神様に新穀を供え、その新穀を自らも食します。
新嘗祭は、新米を炊き新種を神様に捧げ共食する、最も重要な祭事です。昔は、新嘗祭が終わるまでは、新米を食べることを慎む物忌み(ものいみ)の時期でした。神様に新米を供えた後、人々も新米を炊き、口にすることができました。
昭和23年には、11月23日を「勤労感謝の日」と制定。勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日として国民の祝日になりました。
※小春日和:晩秋から初冬の頃の、暖かく穏やかな晴天のこと。
酉の市は、日本各地の鷲(おおとり)神社の年中行事です。江戸時代、現在の東京都足立区にある「大鷲(おおとり)神社」の近隣の農民が、秋の収穫を祝ってニワトリを奉納したのが始まりだいわれています。
その後、熊手や招き猫などの縁起物を買い、開運招福、商売繁盛を願う祭りになりました。酉の市は11月の酉の日に行われますが、酉の日が12日ごとに巡ってくるので、11月に3度行われる年もあります。
「三の酉」まである年は「火事や災いが多い」との故事にならい、用心する風習もあります。
数えで3歳の男女児、5歳の男児、7歳の女児を祝う行事で、11月15日頃行います。七五三を祝うようになった平安時代には、「七つ前は神のうち」とされ、現世では命が定まっていない者として扱われていました。
子どもの死亡率も高く、7歳まで無事に成長させるのは大変でした。節目、節目に神様への感謝の意を表し、子どもが元気に成長できるよう祈ったのが始まりです。
3歳には男女児とも髪を伸ばし始める「髪置(かみおき)」、5歳には男児が男性の衣服である袴を着る「袴着(はかまぎ)」、7歳には女児が付けひもを解き、大人の女性と同じような幅の広い帯をしめ始める「帯解(おびとき)」など、祝いの儀式があります。
七五三に食べる千歳飴は、江戸時代にあめ職人の七兵衛が始めたとされています。紅白の細長い棒状のあめは、子どもの健康と長寿を願った縁起物です。
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