古くから受け継がれてきた月ごとのさまざまな慣習や行事について解説する【歳時記】シリーズ。今回お届けするのは「10月(神無月)」について。
稲などの収穫時期となるこの季節は、穀物などの実りを祝うお祭りや行事が古くから行われてきました。9月の「十五夜」に続く、10月の「十三夜」もそのひとつ。「食欲の秋」らしい行事をご紹介します。
寒露(10月8日〜22日頃)、霜降(10月23日〜11月6日頃)
※二十四節気とは、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、約15日ごとに季節感を表す名前が付けられています。
神無月(かんなづき)、良月(りょうげつ)、神在月(かみありづき)、上冬(じょうとう)、雷無月(かむなしづき)
晴天時に花が咲きます。根は竜の肝のように苦いといわれ、健胃剤として使われます。
秋の訪れを感じさせる甘い香りは、白ワインやお茶に混ぜていただいても楽しめます。
※地域や気候などによって異なります。
10月は、八百万(やおよろず)の神様が人々の運命を話し合うため、全国から出雲の国へ出かけることから、和名を「神無月(かんなづき)」といいます。神様をお迎えする出雲では、「神在月(かみありづき)」といわれています。
朝晩の冷え込みがはっきりし、露が冷たく感じられる頃、五穀の収穫もピークを迎え、各地で収穫を感謝する「秋祭り」が開かれます。田の神様は、収穫が終わると山へ帰って山の神様になり、春になると里へ降り、田の神様になるといわれています。
秋祭りでは神様も人々とともに祭りを楽しむとされ、もてなしのために音楽や踊りを披露するようになりました。神楽、田楽、能などは、こうした祭りから生まれたものです。日本は古くから稲などの穀物が豊かに実る国として行事や習わしが受け継がれてきました。
10月17日には、宮中行事として、天皇が新穀(初穂)を神様に奉納し、豊作に感謝する「神嘗祭(かんなめさい)」が行われます。
10月下旬の「十三夜」は、栗や豆の収穫を祝って行うお月見のこと。「9月の十五夜はお供えしても十三夜はしない」という家庭もあるようです。昔は、「十五夜」しかお月見しないことを「片見月」といい、縁起が悪いとされていました。自然の恵みに感謝するお月見として「十三夜」も後世に伝えたい行事です。
チューリップ、スイセン、スノードロップなどは「耐寒性球根」といわれ、秋に植付けし、翌年の春から初夏に楽しむ花です。
秋植え球根の場合、生育初期に寒さに当てること(低温であること)が、きれいな花を咲かせる条件となります。植付け深さは球根の高さの3倍、間隔は球根の幅の2倍が目安です。
開花期の異なる数種類の球根や、この時期に咲く花の苗をひとつの植木鉢やコンテナに植える「ダブルデッカー植え」は、たくさんの花が楽しめて豪華な鉢植えになります。
【ダブルデッカー植えのポイント】
①球根は草丈のバランスを考えて決めましょう。
②小球根はクロッカス、スノードロップなど、大球根はチューリップ、ヒヤシンス、水仙などがおすすめです。
③この時期に咲くカルーナやエリカ、1年中楽しめるパンジーなど花の咲いた苗を植えると、長い期間楽しめます。
干し柿は渋柿を屋外に吊るして乾燥させたもの。枝とへたを残して皮をむき、枝の部分に紐を結び付け、日当たりの良い軒下などに吊るします。
すだれのような見た目は秋の風物詩のひとつです。乾燥すると渋みが甘味に変わります。栄養価が非常に高く、昔は砂糖の代用や非常食としても使われていました。
最近日本でもおなじみの「ハロウィン」は、もともとはケルト人(古代ヨーロッパの民族のひとつ)の先祖をまつる行事が起源とされています。ケルト人にとって1年の終わりである10月31日は、先祖の霊が帰ってくると考えられていました。
それがキリスト教(カトリック)の聖人をまつる「万聖節(11月1日)」の前夜祭へと広がるなど、欧米を中心に広まりました。ハロウィンでは、悪霊も現れると考えられ、身を守るために仮面をかぶり、魔よけのたき火をたいていました。
それが後に、かぼちゃをくり抜いて「ジャック・オー・ランタン」をつくったり、魔女やお化けの仮装をするようになりました。
仮装した子どもたちは、玄関で出迎えてくれた人に「トリック・オア・トリート」(お菓子をくれなきゃいたずらするよ)と言ってお菓子をもらい、街を練り歩きます。
家庭では、パンプキンシチューやパンプキングラタン、パンプキンパイなどかぼちゃを使った料理を楽しみます。
このコンテンツは、キッチンを通じた楽しいふれあいの場づくりに貢献するために、食や暮らしに関する情報の収集、調査・分析を行っているクリナップの生活研究部門「おいしい暮らし研究所」が監修をしています。