近年の世界的なSDGs推進の流れの中で、私たちクリナップでも持続可能な社会づくりに貢献するための活動を続けています。
取り組んでいるテーマとしては、大きく3つあります。
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気候変動への対応
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資源循環の推進
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水資源の有効活用
さて、2020年10月に日本政府は気候変動への対応として、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。 私たちも事業活動の中で、カーボンニュートラルに向けてさまざまな取り組みを進めているところで、具体的には、太陽光発電の導入や低CO2排出量のエネルギー転換、物流における積載効率の改善や低燃費の営業車両の採用、そしてエコドライブ推進といった施策により、着実にCO2排出量削減へとつなげています。詳しい内容につきましては、クリナップホームページに掲載しているサステナビリティレポートを、ぜひご覧ください。
バスルームから考える環境貢献の第3回。寒さ厳しい年末にお届けする今回は、環境保全にもつながるバスルームの保温性について。入浴スタイルのアドバイスも含めてまとめました。
「40℃前後の湯で10〜15分」が健康入浴のポイント

「熱〜い湯にサッと入って、湯上がりは冷たいビールで極楽ごくらく」
そんな方がいらっしゃったら、ちょっとご注意ください。
人間の身体の熱伝導率は低く、熱が中心までに伝わるのには時間がかかります。たとえば皮膚や筋肉あたりの表層組織で1〜2分、腸・肝臓といった体幹部まで熱が到達するのは10〜20分かかります。
つまり「熱い湯にサッと入ってすぐ出る」だけでは、「皮膚だけが温まって、深部はほとんど変わらない」状態になります。
そうなると、問題となるのが免疫力の低下です。特に寒い時期はさまざまな感染症から身を守るため、1日を通しておなかを冷やさないことで腸内環境を整えておき、免疫機能を維持向上することが大切。入浴時も〝気分的な温まった感〟ではなく、まさに〝体の芯まで温まる〟ことが大切なのです。
国立保健医療科学院(NIPH)の研究によると、入浴条件によって、直腸温の変化に以下のような特徴が見られました。
◎高温(42〜43℃)× 短時間(3〜5分)
・ほぼ変化なし〜わずかに上昇(+0.1〜0.2℃)
・表面だけ温まる。のぼせやすく、深部は冷えたまま
◎中温(40℃)× 10〜15分
・約+0.3〜0.5℃上昇
・深部まで温まる。自律神経・免疫に好影響
◎低温(38〜39℃)× 長時間(20分前後)
・約+0.5〜0.8℃上昇
・穏やかに深部まで温まる。疲労回復効果も高い
厚生労働省や環境省、日本入浴協会も「40℃前後の湯で10〜15分を標準とし、高温・短時間浴は避ける」よう呼びかけています。熱力学的にも42℃から40℃へ2℃湯温を下げることで、CO2の排出量を約8%下げることができると試算できます。

腸内環境の改善、いわゆる「腸活」が気になる方は、入浴時の湯温と時間の見直しに加え、温浴効果が高まるジェットバスの導入もおすすめです。当社のデュアルフィット浴槽にオプション追加できる「ぐるもみジェット」は、身体の側面と背面からのジェット水流により、おなかの表層部から腸を揉み解し温浴効果を促進します。

省エネ・経済的に湯温をキープしたい

これまでお話したように、健康のためにはある程度の時間、浴槽に浸かることが理想的です。一方で人が入浴すると、人体や空気とお湯の間とで熱交換が行われ、必然的に湯温は下がっていきます。そうすると追い焚きをする必要が出てきますが、できるだけ追い焚きは少ないほうが、経済的にも環境的にも望ましいことです。
クリナップのシステムバスルームは「セレヴィア」も「ラクヴィア」も、床から天井まで浴室全体を保温材で包んで浴室内の温度が下がりにくくした「浴室まるごと保温」。ひいては高断熱浴槽の導入で湯温の下がりにくさに貢献しています。
日本建築学会論文(J-STAGE)では『住宅における高断熱浴槽の湯温低下抑制効果に関する研究』の中で、高断熱浴槽が湯温低下抑制に一定の効果を示すものの、風呂フタ(あり・なし)で大きく効果が変わることを紹介しています。下に示す実験結果グラフを見ても、風呂フタを閉めれば湯温低下抑制効果が顕著で、高断熱浴槽だと効果は最大に発揮されることがわかります。
浴室まるごと保温のクリナップバスルームで、温度低下をさらに抑制する断熱風呂フタを利用することで、追い焚きの使用を大きく抑え、省エネ・快適な入浴が実現します。

湯張り量を減らすのに半身浴をするのが良い?

40℃前後の湯で10〜15分程度の入浴をする際、肩までしっかり浸かる全身浴が理想です。もっと長く浸かって半身浴をするのであれば湯張り量を少なくでき、湯温も抑えられて省エネかもしれませんが、そんな時間の余裕がない方も多いはず。湯張り量を減らすのに半身浴をするというのは、あまり現実的ではないと言えるでしょう。
そこでクリナップバスルームは、湯張り量を少なくするため「湯張り量のムダ」を研究。浴槽デザインを改良し、標準仕様の「ストレートラグーン浴槽」に採用しました。この浴槽は、肩周りは従来の浴槽と同じ幅のままで、肘掛け部分を広くして腰周りの幅を絞った形状となっています。これにより、くつろぎやすさは変わらずに、より少ない湯で入浴可能に。つまり、この浴槽に浸かるだけで知らず知らずに節水・省エネにつながり、温室効果ガス削減にも貢献することになります。

ヒートショック対策も快適・安心、省エネで

寒い時期の入浴で心配なのがヒートショックです。これは「居室・脱衣室・浴室の寒暖差によって血圧が急上昇・急降下することにより、血管や心臓に大きな負担がかかり、意識喪失や脳梗塞、心筋梗塞などが発生しやすくなること」というのは皆さまもさまざまなメディアで接してご存知のことでしょう。
クリナップバスルームのような保温性の高い浴室であれば、ヒートショックの危険性を抑えるために大きく貢献しますが、その際、疎かになりがちなのが脱衣所です。あたたかい居室から温度の低い脱衣所へ行き、服を脱いでさらに体が冷えてしまうことで、あたたかい浴室に入って血圧が急上昇……といった状況を回避するためには、居室・浴室と脱衣所の温度差を抑えたいところです。
ヒートショック予防として、寒い日は脱衣所と浴室を温めておくと良いと厚生労働省が推奨していますが、多くのお宅では、脱衣所はあまり広いスペースが確保されていません。そのため、室温を上げるためにストーブやヒーターを床に置くと邪魔であったり、うっかり触れてのやけど、さらには火災のおそれもあります。
そこでクリナップがご用意しているのが「Hotウォール」です。壁面設置のため床置きスペースが必要なく、体にやさしい輻射熱により室内をあたためるので、お子さまやペットが触れたとしても安心です。使用コストは6時間で約32.5円(当社調べ)。少ないエネルギーで快適な脱衣所空間を実現できます。

●Hotウォールのバー部分にはタオルやマットを掛けて乾かすことができます。
冒頭に取り上げたように、入浴は衛生だけでなく健康にも密接に関わっています。冬場は「寒いから」とか「光熱費を抑えたい」といったことで入浴を控えてしまうようなことも聞きますが、家族がなるべく連続して入浴して追い焚きを減らすといったような工夫に加え、今回、大きな効果がわかった断熱性の高い風呂フタを忘れずに利用するなどでコストも抑えて、ぜひ冬場の入浴もお楽しみいただければと思います。
■『バスルームから考える環境貢献』シリーズ
第1回 「温室効果ガス排出量削減に貢献するバスルームと入浴の心得」を読む>>
第2回 「汚れにくく、お手入れしやすいバスルームで環境にいい暮らし」を読む>>
■『キッチンから考える環境貢献』シリーズ
第1回 「温室効果ガス排出量削減につながる加熱調理の心得」を読む>>
第2回 「食器洗いに気をつけて温室効果ガスの排出量を減らそう!」を読む>>
第3回 「長~く使って温室効果ガスの排出量を減らそう!」を読む>>
第4回 「カンタンおいしい!エコクッキングに挑戦」を読む>>